水彩人声明文

現代美術は、一見急速な進歩を遂げ、
自由で広大な世界を開いたはずであった。

しかし今日、絵画は 自由とは反対に自らの方向性を失い、
細分化され、窒息状態に陥っている。

刹那的な方法論をふり回したり、
短絡的に新しい表現方法に頼ることが、

絵画の本来もっていた大らかな豊かさを 失うことに
拍車をかけてしまったのではないか。

我々が ここに示すひとつの試みは、
これ以上「外」に向かって切り開こうとする姿勢よりも
むしろ「内」に向かっての探求である。

水による最も単純で素朴な方法を課することは
大きな制約となるが
それは絵画に自由な豊かさを
取り戻す為の 最良の手段になりうると考える。

水彩の可能性や在り方を、
他に追従することなく求めていきたい。

1999年 夏